恋が盲目なら

恋が盲目なら (エメラルドコミックス ハーレクインシリーズ)
別府ちづ子/エマ・ゴールドリック

会社で主任職に居るフィルは、ボスからお呼びがかかった部下が泣かされて帰ってきたことに抗議しにオフィスにむかった。そこにいたのはいつものボスではなく若い男性。彼は矢継ぎ早に指示を出し、フィルは圧倒されながら仕事をこなした。男の正体は体調を崩した社長に代わり、最高経営責任者に就いた社長の息子のベンだった。
一時的に視力を失っているベンに、話口調や態度でオールドミスだと勘違いされたフィルは、後日ふたたびお呼びがかかってしまう。気がのらないまま出向くと、そこには彼が手を焼いているという息子のロビーがきていた。先日の彼女の対応に感心したベンは、ボビーの世話を頼みたいといってきたのだ。話せばいい顔もできるボビーにフィルは好感をもちながら、買い物を済ませかえるところにベンが食事を誘ってきた。
そこでもボビーをうまくあしらう彼女の態度を見て、ベンは彼のために住み込みでウィルダーマン家でお手伝いをして欲しいと頼まれてしまう。
丁度妹たちにこき使われるだけの終末。彼女は見栄で妹たちに「恋人ができたから彼と過ごすから家をあける」と言ってウィルダーマン家に行くことにする。

別府ちづ子さんのコミック。こんなところで別府さんの作品に再び逢えるとは思っていませんでした。
むかし、さんざん「なかよし」で別府さんの楽しい作品を読んでいた私は、それはもううれしすぎて即買いの本でした。
ハーレクインコミックにおいては、別府さんの初めての本になります。
目の見えないベンに27歳なのに婚期をのがしたオールドミスみたいに思われているフィル。そして彼の傲慢な態度と、その裏にある少年のいたずらっ子のような態度がフィルを誘惑することになります。
ボビーの親権をあらそうために、ベンはフィルに結婚を申しこむというのですが、契約だけでなく十分この時点で惚れ込んでいるのではないかと思います。だって、凄く素敵なウエディングドレス。
二人の結婚のときのウエディングドレスが凄くきれいで、フィルが美しくて泣けます。
結婚にはそれなりの夢を誰しも持って居るものです。契約結婚というかたちでやってくるなんて酷いわ！と彼女は怒りますが、彼女もベンにひかれているということは嘘ではありませんでした。
だからこそ、契約といいつつ彼の誘惑に負けてしまうわけですから。
「きみは誰だ」
目が見えるようになってからの彼のセリフは残酷でしたが、おばあちゃんとおもっていたんですから、しかたないのかなあ…。

タグ：別府ちづ子 エマ・ゴールドリック