悩めるプリンス

悩めるプリンス (エメラルドコミックス ハーレクインコミックス)
橋本多佳子/ローラ・ライト

亡くなった祖父の祖国ランダロン王国を目指していたソフィアは、乗っていたヨットが座礁してしまう。遭難しかかったところをたすけられ、濃い霧の中で助けてくれた男性と愛を交わしてしまった。
目覚めた時に隣で眠る男性に驚きながら、ソフィアは感謝と謝罪の言葉を男性に告げた。ところが、彼はそんなことよりも昨夜の行為によって彼女に子供が宿っているかにこだわり、居丈高なもの言いで彼女に名を尋ねた。ことと次第によっては、彼はソフィアと結婚しなければならないと言うのだ。むっとした彼女はそのえらそうなモノ言いに「この国の王様でもあるまいし」と言い返した。ところが、その発想は正しく当っていて、彼はこのランダロン王国の皇太子アレックスだったのだ。

凄く懐かしい少女漫画を読んだという印象です。
昔私が西洋の世界に憧れていたころ、王子様と恋に落ちる普通の女の子のロイヤルロマンスのようなお話が少女漫画では主流でした。特にこのお話は、ベースにアレックス王子が子供のころに読んでいて大好きだったという人魚姫の話があって、その人魚とソフィアが似ているというところから彼の恋が始まっています。堅苦しいしきたりや人間関係が全く描かれていないぶん、現実のような現実離れした世界が作られているのです。これこそ少女漫画の世界！
まあ、ハーレクインだからアダルトな部分が多くあるのですけど、そういうのの印象が強く感じませんでした。キャラクターがみんな粒ぞろいで、ソフィアのおじいちゃんのお兄さんラネンも物語の終盤でそのキャラクターの魅力が発揮されます。子供がキーワードになっていますが、純粋な気持ちでお互いを愛しているのか？という部分から始まっていないだけに双方が疑心暗鬼に陥りやすくて悩んでしまってという展開はハーレならではですね。ラネンの嘘が優等生アレックスの心のうちを暴露するきっかけになるんですけどね。なにも考えずに目の前の恋を楽しむ…それがいちばん難しいんですよね（笑）

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